序章でのインフォとインテリジェンス、プロパガンダなどの概念の定義が良かったです。
その裏に、たゆまない情勢観察と情報収集、点と点を結んでゆく際での冷静なアナリーゼ、多角的、試行的、思考的アプローチをなさっている姿勢が垣間見られ、また断言できないところは自分の見解とはっきり言ってくださるなどバランスの取れた内容に信頼感が持てます。
プロパガンダの字引と思って読みはじめましたら、私が思っていた、どちらかというと専門書の形式と違って、いつものご自身の経験や砕けても意味の通った比喩などそのまま入っていてエッセイー風にも読める作りですね。
私はどちらかというと性善説を信じたいほうですが、きっとそちらのほうに偏っている日本人には歴史上、あるいは歴史的な凄まじい悪の姿には想像もつかない、疑うこともしない、思考中止の中にあるのではないかと思ったりします。
私は海外に住む定年後の一主婦ですが、普通の人でも一人ひとりが悪の姿を見抜くことができるだけでも、その力を弱めることができると思っています。